
立石従寛
MEDIA:Permanent ink and 18,198 readyposteds on inkjet print
YEAR :2019
提出作品の解説
本作品は人工知能によって分析・再構築された18,198の白いハトに関するイメージを基礎にしている。インスタグラム上で#whitedoveとタグ付けされたイメージは、何も白いハトの写真に限られない。写真、映像、イラスト、ミームなど複数のメディウム、或いは被写体の向きや数もばらばらである。これを分析・イメージ再構築すると、投稿者に共通する無意識の意思がアウトラインとして与えられ、オリーブの枝を咥えた希望の象徴が浮かび上がる。ぼやけた背景には、投稿者の持つ希望的なストーリーが多くを占めるが、中には相反して軍事用ヘルメット、葬式、ドクロなど死の香りがするイメージが隠されている。
#whitedoveをタグ付けする投稿者にとって、「幸福」と「逃れられない死への恐怖」との差分を白いハトが埋めているのかも知れない。人工知能が読み取った人間の願わずにいられない前向きな悲しみを作家の手で涙として添えた。
立石従寛(1986年シカゴ生)はロンドン拠点の美術家、キュレーター(HB.)、音楽家である。
人工知能に流れる人間像の観察をテーマに仮想現実、立体音響(-360°)、建築手法を用いたインスタレーションを展開している 。主な展示に「沈んだ世界のアンカー 」(SPIRAL HALL、2019)、「生きられた庭」(京都府立植物園、2019)、「Allscape in a Hall」(Artists’ Fair Kyoto、2020)、「AnyTokyo」(九段ハウス 、2019)。主な音楽作品に「ことばおどる 」(NHK、2019)、「Voyage in Sound」(AirBnB、2017)
2017年に渡英、Royal College of Artにおいてファインアートフォトグラフィー修士号を2020年に取得。修士論文首席。
オルタナティブ・アートスペース「The 5th Floor」代表。