
Chika & Ichio Usui
MEDIA:European baryta paper (CANSON) / Inkjet Print (Archival pigment print) / Photography [*画像合成等は用いずに制作]
YEAR :2019
提出作品の解説
これは、この世界に新たに生まれた共同体の誕生を表現した作品シリーズからの一枚です。
私たち夫婦はそれぞれがアーティストとして創作活動を行っています。
私たちにとって"結婚"という衝撃的な出来事からインスピレーションをえて、ユニークな家族写真を撮るということから出発したこのプロジェクト。
先祖代々受け継がれてきて、これから私たちが家を建て巣になるであろう場所を舞台として撮影を行っています。
穴を掘り撮影に挑む際は、研ぎ澄まされ静寂につつまれた空間を共有しました。
それはまるで神聖な儀式のようでもあります。
二人で撮影を重ねるたび、次第により深い絆を感じるようになりました。
そして私たちは自問自答をし、その絆の意味を問うようになります。
なぜこの人と出会い一緒になったのか。
これからどのような関係へとなっていくのか。
夫婦とは、家族になるとは何なのか。
今はまだその答えはわかりません。
私たちはこのシリーズを全三部作で構成していこうと考えいます。
第一部となる今作(全36枚で構成)では、まるで鳥のヒナが殻を突き割ってこの世界に生まれ出るように、新たな共同体が地面を割って生まれ出てきた様を表現しています。
また、先祖代々受け継がれ守られてきた場所に女性である妻が埋まるという人柱を思わせるスタイルから、日本特有ともいえる土地に執着する精神、まだ無意識的に日本に根深く存在する男女格差の問題を含み表現しています。
時間の経過とともに変わりゆく私たちの変化に沿う形で、第一部では誕生、第二部では育みを、最終章となる第三部で終焉を描いてゆき、私たち夫婦のいずれかの死によって終りを迎え土へと還ることで誕生と終わりが繋がり廻り、命のめぐりを通して作品が出来上がっていくと考え制作をしています。
Chika、1988年福岡県生まれ。Ichio、1983年山形県生まれ。
2016年よりChika & Ichio Usuiとして作品の共同制作を開始。2017年に結婚。
Chikaは2019年、台湾で開催された台北国際撮影芸術交流祭に招待作家として作品を展示。
Ichioは2015年、個展「きせき、」(Wide Gallery&Studio、神戸)開催。その他、国内外での受賞歴多数。
2019年、KYOTOGRAPHIE (京都国際写真祭) KG+SELECT 12 Artistsに選出をされ個展を開催。
その後、KG+SELECT 12 Artists及びKG+の全200組を超える出展アーティストの中から選ばれBergonzo First Floor Paris Prizeを受賞する。
2019年11月には招聘をされフランス・パリのギャラリーにて個展を開催した。
2020年にニューヨークの出版社より写真集の刊行を予定している。