
タカハシマホMEDIA:Resin,Acrylic,With paulownia box
YEAR :2021
提出作品の解説
大戦後、機能不全であった日本現代美術を、村上隆氏が西洋美術と敗戦文化、そして日本式サブカルチャーを紐づけたことにより、日本美術のガラパゴス文化に意味を持たせ、進化させた。村上隆氏がおたく文化を踏まえた日本現代美術の文脈を作ったのである。タカハシマホの作品は、その村上隆氏の作った西洋式日本現代美術の文脈を意識しつつも、一見「スーパーフラット」であるが、自身が区分されるY世代後期からZ世代の日本人が使用する、英語のemotionalを由来とする”エモい”を言語化、具現化している。その感情的な部分をより言語、可視化することにより、多くの人々と共有することができるコンテンツになり得るのである。人類の歴史とともに古くからの人々が花鳥を描いたように、1980年代以降の生まれは、インターネットのある生活環境の中で育った。いわば、デジタルネイティブな世代である。アニメ、漫画、ゲームは自身の幼児期に、当たり前に存在し、多くの時間を費やした。そのようなコンテンツが制作物に影響を与えることは、世代に正直であると言えるのだ。懐古からくる郷愁さを感じつつも、現代的な表現を使用し、平面、立体問わず制作している。人は幼少期に、人格形成の基礎が培われる。遺伝と環境の相互作用の中で、事故や病気等による外的要因を除いて、変化、発達しながら形成されていく。経験や体験、感情など全ての記憶が人として成育するうえで重要な軸となるのだ。作品に登場する「あの子」は、その重要なパーソナリティーが形成される幼児期から児童期を可視化したものとして使用されている。本作は、いいねの承認を得ることにより、成功体験に伴う自己肯定感を高めるものとして具現化した【Trophy】である。近年、挑戦したがらない子どもが増えている傾向にあるが、文部科学省委託研究によると「単純集計で約7割の親が家庭の教育力が低下していると実感している」という調査結果がある。それを助長させる原因として、失敗経験を恐れ、挑戦しない大人が増えたことが関わってきていると考える。不寛容社会が出来た結果として、子どもが挑戦しなくなっているという現実があるのだ。成功体験は挑戦することと大きく結びついているのである。
1992年千葉県出身
展覧会 2021
福 岡・アートフェアアジア福岡2021
天王洲アイル・WHAT is Art?展
上 海・NIHON 超扁平の解決方案
北 京・天/真/有/邪 CONTEMPORARY TOKYO
日本橋・MASATAKA CONTEMPORARY