Shave-Categorization-8 MANABU KISHIMOTO

  • Shave-Categorization-8

MANABU KISHIMOTOMEDIA:木製パネルにアクリル、油性マーカー、研ぎ出し
YEAR :2021

提出作品の解説
SNSが普及したことで僕らは何を手に入れて、何を失ってしまったのでしょうか。膨大なデータの蓄積によって形成されたデジタル社会では「わかりやすいこと」が求められ、「YES」と「NO」が言いやすくなりました。140文字程度で簡潔に文章をまとめる能力が身について、インスタ映えする写真を撮るスキルも多くの人が身につけて誰もがわかりやすく「白」と「黒」との境界線をはっきりと線引きすることで、「自分はこういう人間なんだ!」とはっきりと言えるようになったように思います。読まれやすい文章・バスる文章・盛れるアイコン・認知されやすいアイコンそうして社会のデジタル化が進むにつれて名前も顔も知らない人たちを自分の思う通りの枠組みに当てはめて、詳しく知らないこともタイムラインで流れてきた情報だけをもとに知った気になって、自分の好き嫌いに対して「YES」と「NO」を無意識のうちに積み重ねてきたのだと思います。「白人だから」「黒人だから」「黄色人種だから」「日本人だから」「アメリカ人だから」「韓国人だから」「男だから」「女だから」「LGBTだから」カテゴライズされてしまった情報だけで全部を理解した気になって、その人の個性をどこかに置き忘れ、知らぬ間に「小さな偏見」を心のどこかに住まわせているのではないでしょうか。本来、人間はものすごく曖昧で奥行きのある生き物だと思います。「YESとNO」「白と黒」だけでは片付けられないグラデーションの中にこそ個性は存在していて、グラデーションの集合体こそ人間なのではないでしょうか。この作品はデジタル社会において、わかりやすくカテゴライズされてしまう国籍や肌の色や性別、そして外見的な要素で区切られた境界線を、アクリルを何層にも重ねて削って作品を作るという過程を通して、グラデーションに富んだ曖昧で奥行きのある一個人としての人間の輪郭を形取っています。

大きさ
(幅×奥行×高さ)
606mm × 25mm × 727mm
重さ
カテゴリー
販売価格
¥ 110,000 円(税込)
  • 送料、梱包料はお客様負担となります。実際の料金はメールにてお知らせいたします。
  • ご購入いただいた商品は、海外への発送、海外からの発送は場所によりお時間がかかる可能性がございます。到着しない場合は お問い合わせフォーム よりご連絡くださいませ。

Profile

MANABU KISHIMOTO

現代美術家
1990年 大阪南河内郡生まれ、東京都在住
立教大学 現代心理学部 映像身体学科 卒業

「曖昧なものの輪郭」をテーマにデジタル社会の「可視化」によって分断され、カテゴライズされてしまった事柄を再構築している。

グラフィックデザイナーとしての経験をベースに、アニメーションやマンガ、ストリートカルチャーの表現に影響を受け、複雑な要素を削ぎ落としたシンプルな線を用い作品を制作している。

近年では寿司屋やスケボーブランドとのコラボなど様々な分野で精力的に作品提供を行なっている。