
西本樹生MEDIA:キャンバスにアクリル絵具
YEAR :2021
提出作品の解説
人が動くことによって発生する生命のエネルギー、未知感や予感などといった目に見えないものに興味を持ち絵画制作をしています。走ったり笑ったり、呼吸をしたりといった何気ない動きも、生きているからこそできることで、とても尊いことだと思っています。私はそこに物語性を感じ、「To move means to live」というシリーズで、ダンスや走りといった人の動きを中心に表現した作品を描いています。今回の作品《よく見えない》では人の動きに重点を置くのではなく、降り頻る雨を描くことにより、"動き"を表現しました。雨の日はいつもとは違った景色。人の動きを描くのではなく、雨が降る動きから人の内面を表現し、そして何か物語のようなものを感じ取ってもらえたら良いなと思っています。雨の部分は、絵具に厚みを持たせて描きました。平滑に描いた図像との差で、物質的な奥行きと、絵画空間としての奥行きと合わせて表現しました。
1997年愛知県生まれ。愛知県立芸術大学美術学部油画専攻卒業後、同大学院博士課程油画・版画領域在学中。デジタルツールを用いて構築した画面を、独特の色彩感覚でキャンヴァスに描くことで、動くことによって発生する生命のエネルギー、生活の中で目にした瞬間のイメージと、記憶の中にあるイメージを視覚的に表現する。